アパート管理を丸投げして失敗しないための管理会社選びのポイント

まず知っておきたい「丸投げ=悪」の誤解

「アパート経営を管理会社に丸投げするなんて、無責任じゃないか」「自分で管理してこそ、コストが下がるし利益も出るのでは?」——そう考える方は少なくありません。しかし、私は地方都市で10年以上アパート・マンションの管理をしてきた立場から、こう断言できます。信頼できる管理会社に業務を任せることは、決して悪ではありません。

むしろ、自分の時間とリソースを最適に使う手段として、管理を任せる選択肢は非常に合理的です。たとえば、投資家が複数の物件を運用していたり、他に本業や家族との時間を大切にしたいと考えていたりする場合、管理業務に時間を割くことが投資効率を下げてしまうことさえあります。

今の時代、サブリース契約やフルパッケージの管理サービスを活用すれば、実質的に“進化した丸投げ”が可能です。そして、それによって安定した収支が得られるなら、それは投資戦略として正解だと言えるでしょう。

「丸投げ」の定義を正しく理解する

そもそも「丸投げ」とは何かを再定義する必要があります。管理会社にすべて任せて何もしないことが丸投げでしょうか?それとも、手間を省くことを目的として管理業務の大部分を外部に委託することがそうなのでしょうか?

サブリースを含む管理サービスを利用するのは、単に「楽をしたい」からではありません。手間のかかる入居者対応や修繕、退去精算といった業務をプロに任せることで、自分が本当にやるべき判断や戦略立案に集中できるようにするための“分業”なのです。

自分で対応しなくても収支が安定していれば、それはすでに成功している経営スタイルのひとつです。問題は、何も考えずに任せきりになることであり、それが「失敗の丸投げ」につながるのです。

「自分でやりたい派」が丸投げで失敗する理由

一方で、「ある程度は自分で関わりたい」「細かいコストを抑えたい」と考えるサラリーマン大家にとって、管理会社との距離感が中途半端だと、かえってトラブルの火種になることがあります。

管理会社からすれば、修繕一つとっても、オーナーが独自に手配した業者の工事について入居者からのクレームが寄せられると、その対応に追われることになります。度々そのような事態の対応が重なれば管理料に見合った業務ではなくなり、「割に合わない」と感じてしまうのです。

私たち管理側の立場からすれば、オーナーが自ら動きたい気持ちは尊重したい反面、役割分担があいまいなまま関わられると、とてもやりづらく感じるのが正直なところです。結果として、手をかけるべき物件に注力しにくくなり、入居者対応や修繕対応が後回しになってしまうことも起こります。

こうした状況を避けるには、「管理会社に任せる部分」「オーナーが判断・対応する部分」の線引きを明確にし、契約時点でしっかり取り決めをしておくことが重要です。

信頼できる管理会社と良い関係を築くには?

理想は、「任せるところは任せ、見るべきところは必ず見る」ことです。たとえば、月次報告書をしっかり確認し、不審な点があればすぐに質問する。年に1度は現地に足を運び、物件の清掃状態や植栽の手入れ具合をチェックする。こうした姿勢があれば、管理会社も「このオーナーは本気で物件を大切にしている」と認識し、より丁寧な対応につながるのです。

そして、修繕に関する方針や、入居者対応の連絡経路、家賃回収や滞納処理の対応方針などは、可能な限り契約書や運用ルールの中で文書化しておきましょう。曖昧さを残さないことで、お互いのストレスが減り、関係も円滑になります。

丸投げ管理の“闇”に落ちないためのチェックリスト

ありがちな失敗として、「管理会社に任せておけば何とかなるだろう」と、業者選びを軽視してしまうケースがあります。地方都市では、管理会社の質にばらつきがあることも珍しくありません。契約前には、管理対応の実績やレスポンスの速さ、入居率維持の工夫などを直接ヒアリングしてみましょう。

また、メールのやりとりのスピードや言葉遣い、資料の分かりやすさなど、日々のやり取りの中にも会社の姿勢が表れます。誠実で、透明性の高い対応をしてくれる管理会社であれば、長期にわたる信頼関係を築けるでしょう。

まとめ|丸投げは「悪」ではない。戦略的に使おう

アパート経営は本業を持つサラリーマンにとって、時間の使い方が命です。限られたリソースをどこに集中させるかを考えたとき、信頼できる管理会社に任せることは、むしろ経営者としての正しい選択です。

ただし、「任せっぱなし」ではいけません。管理会社との役割分担を明確にし、定期的に状況を把握する意識を持つことで、安定経営が実現します。丸投げとは、手放すことではなく、「信頼して任せること」。それができたとき、地方都市でのアパート経営は確実にあなたの未来を支える資産になります。

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